トンネル工事用ベルトコンベヤシステム
延伸コンベヤ
近年トンネル掘削工事を取りまく作業環境問題や工期短縮によるコスト低減の必要性から掘削ズリ搬送方法が重要な項目となっています。日本コンベヤが提供する延伸コンベヤは、ベルトストレージ装置を設け、トンネル掘削に追従してコンベヤを延伸し、掘削ズリを切羽から連続して搬送する安全性・経済性・坑内環境性に優れた信頼性の高いベルトコンベヤシステムです。
- 特徴1:効率性
- 掘削ズリ搬送にかかる時間や作業人員を削減。搬送効率がよく掘進性能を最大限に発揮できます。
- 特徴2:経済性
- 長距離トンネルや勾配の大きなトンネルでは、従来のダンプカーによる掘削ズリ搬送と比較して経済的です。
- 特徴3:安全性
- 坑内を走行するダンプカー・重機などの往来が少なくなるので、坑内の安全性が高くなります。
- 特徴4:伸縮性
- 450mのベルトを収納できるベルトストレージ装置を装備しています。
- 特徴5:適応性
- トンネル線形の変化にも対応したコンベヤ敷設が可能です。
ベルト延伸概念図
①ベルト貯蔵時
テールピース台車の進行により牽引することで、予めベルトストレージ装置に貯蔵したベルトを順次繰り出しコンベヤを延伸します。

②ベルト延伸時
テールピース台車上でキャリアアイドラを追加しながらコンベヤを延伸します。ベルトストレージ装置に貯蔵したベルトを全て繰り出したら、ベルトをクランプで固定します。

③ベルト継ぎ足し時
クランプしたベルトを切断し、ベルトロールをベルト加硫接合架台にセットしてからベルトストレージ装置側のベルトを加硫接合します。

④ベルト継ぎ足し完了
ウインチによりベルトストレージ装置のベルトプーリを牽引して新しいベルトを引き込み貯蔵します。ベルトを貯蔵したら他端のベルトを加硫接合し、クランプを開放して完了です。

装置紹介
簡単・安全に延伸部のキャリアアイドラの取り付け作業が行えます。台車の傾きによるベルトの蛇行を防止するため、台車上のテールプーリには姿勢制御機構を設けています。
予め収納したベルトを、掘進に追従し連続で繰り出していきます。ベルトプーリを電動ウインチで牽引することにより、有効張力をベルトに与えるテークアップ機能を有しています。
モータ、クラッチ、減速機、ギヤ列を介して駆動プーリを回転させます。1,500m延伸時にブースタードライブを設置します。
角度調節可能なプーム先端のヘッドプーリより、搬送ズリを排出します。
ベルト継ぎ足しの際、補給ベルトロールを所定の位置まで簡単に移動させることができ、作業効率を向上させます。
ベルト継ぎ足し作業を効率よく行えます。ベルト継ぎ足し作業スペースを確保します。フレームに設けたベルトクリップによりベルトの仮固定が行えます。
延伸コンベヤ仕様
主要装置配置図
主要装置一覧
名称 | 主仕様 | 備考 |
---|---|---|
①延伸コンベヤ | ベルト幅600mm、ベルト速度~180m/min、輸送能力300t/h、水平機長2km~ | レイアウトに応じて中間駆動装置を設置し、ベルト使用を低減 |
②テールピース台車 | 油圧クローラによる自走式。ベルト蛇行調整装置を設置。 | 油圧ユニット搭載 |
③ベルトストレージ装置 | 最大450m収納 | 油圧シリンダにて制御。機長により収納量は減少。 |
④ベルト加硫接合架台 | ベルトロール架台及びベルトクランプ×2を設置 | 300m/ロールのベルトを使用 |
⑤メインドライブ装置 | マルチ駆動型/ダンデム駆動型 | 75kW~150kW |
⑥ヘッドフレーム | ベルトクリーナ、水洗装置 | |
⑦安全装置 | 蛇行検出SW、プルコードSW、ベルトスリップ検出SW、回転等及び警報器 | ヘッド・テール部100mピッチ、駆動部近辺200mピッチ |
⑧中間部材 | 長さ3.65m/set、キャリアベッド×2/set、リターンローラ×1/set | 自動調心アイドラも取付可能 |
主要寸法
テールピース台車
ベルトストレージ装置
メインドライブ装置
ベルトコンベヤによるトータル搬送
本坑トンネルを延伸コンベヤで搬送した掘削ズリを、斜坑トンネル内からトンネル坑外まで全てをベルトコンベヤで搬送することにより、ダンプによる輸送コストの削減と事故リスクを低減するとともに、粉塵・騒音・排気ガスなどの坑内の作業環境を改善します。また垂直や急傾斜の現場にも対応し、掘削ズリをトータルで搬送します。
仮設コンベヤによるコスト削減
仮設コンベヤのメリット
- ①設備コストが安価
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- 汎用足場材を使用するため、製缶で製造した場合と比較して重量が約半分
- 足場材の組み立ては足場工による設置作業が可能(大型レッカー不要)
- 設計を大幅省力化でき、エンジニアリングコストを削減
- 設置納期は、通常のコンベヤと比較して約1/3程度
- 仮設設備であるため、設置認可が不要
- 規定曲率以上であればカーブも可能
- ②ベルトコンベヤの移動(移設)が簡単
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- 仮設資材のため切羽の展開に合わせて移動、延長、短縮も容易
- ベルトコンベヤの運転、メンテナンス管理も簡単
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- 従来のダンプ道に沿って仮設コンベヤを設置することが可能であり、メンテナンス時や故障修理中はダンプカーでのズリ輸送も可能